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ボードゲームでつながりをつくる

近年、世界中でボードゲームが注目を集めている。日本でも Ticket to RideCalicoLove Letter といったモダンボードゲームが広く知られるようになり、その人気は高まりつつある。TOMOTUDE では、QT Cha Cafe を会場として定期的にボードゲームイベントを開催し、若者が集い、つながりを築ける場を提供している。

本イベントは特に、ひきこもり、ニート(就労・就学・職業訓練のいずれにも属さない若者)、不登校の若者を対象としている。安心できる環境で人と関わる機会が限られている彼らにとって、ボードゲームは社会との橋渡しとなりうる。

ボードゲームがもたらす効果

  • 柔軟なコミュニケーション
会話の量を自分で調整できる。ゲーム中は必要以上に話す必要がなく、ゲームに関するやりとりだけでも十分成立するため、対人関係に不安を抱える人にとって自然に交流を始めるきっかけとなる。
  • 多様性と学び
ボードゲームには多種多様な種類があり、毎回新しい体験を得られる。同時に、自分の好みを見つけたり、その意見を表現したりする練習の場にもなる。
  • 低い経済的ハードル
複数人で遊べるため、同じゲームを一人ひとりが所有する必要はない。主催者が長年かけてコレクションを揃えており、幅広いゲームを提供している。また、参加者自身も一つ二つ持参すればイベントに貢献でき、主体的に関わる感覚を持てる。
  • 運と実力のバランス
選定するゲームは比較的短時間で終わり、運と戦略のバランスが取れているものが多い。誰か一人が常に勝ち続けることはなく、成功や失敗を繰り返しながら気軽に挑戦できる。
  • 協力体験
協力型のゲームでは、初対面の相手とも一緒に目標を達成する体験ができる。過去に人間関係で否定的な経験を重ねた人にとっても、肯定的な関わりを築く貴重な機会となる。

ひきこもり・ニート・不登校の若者にとっての意義

不登校や社会的孤立に陥る若者の多くは、拒絶への恐れや過去の否定的な経験、未知の状況に対する不安を抱えている。ボードゲームイベントはその壁を低くし、

  • 自然に交流が始められる構造化された場
  • 小さなステップでのコミュニケーションや協働の練習機会
  • 初対面の人と楽しみを共有することで新しい経験を積む場を提供する。こうした小さな成功体験の積み重ねが、社会参加への第一歩となる。

アプローチの難しさ

こうしたメリットがある一方で、本当に必要としている若者に情報を届けることは容易ではない。孤立している人の多くは自ら情報を探しに来ず、そもそもイベントの存在を知らない場合もある。チラシやSNS、口コミには限界がある。

さらに、実際に初めて参加するまでのハードル も高い。情報を見ても、不安や自信のなさから参加をためらうことが多い。学校、家庭、支援機関など信頼できるつながりを通しての紹介が不可欠である。実際には、繰り返しの働きかけや、参加経験者からの「安心できた」という声によってようやく足を運ぶケースも少なくない。

より多くの若者に届けるための取り組み

こうした課題に対応するため、次のような取り組みを進めている。

  • 学校・相談機関との連携
教員、スクールソーシャルワーカー、支援団体など、すでに若者と関わりのある人々を通じてイベントを紹介し、安心して参加できる場として伝えてもらう。
  • 家族の関与
初回は保護者やきょうだいと一緒に参加できるようにし、完全に一人で新しい環境に入る不安を和らげる。
  • 同世代からの誘い
既存の参加者が友人や知人を誘う仕組みを重視。主催者の説明よりも、同じ立場の人の体験談の方が参加の後押しになりやすい。
  • 初参加者に配慮した設計
少人数制、分かりやすい進行、初心者向けのゲームを中心に用意し、心理的な負担を軽減する。
  • 段階的な関わり
まずは見学やお茶をしに来るだけでもよいことを伝え、場にいるだけで一歩になるような仕組みを整える。

こうした工夫を通じ、ボードゲームを単なる娯楽にとどめず、信頼とコミュニティを育み、若者が再び社会とつながるための手がかりとすることを目指している。

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